ゆっくり、のんびり、適当に。

アトピー喘息アレルギー、子育て、趣味のブログ。byあんころ

サルタノールを使っていた頃の思い出話

ふと、思い出したことがある。

 

もう20年位前になるかな。

 

当時、まだ私の喘息の治療は【発作が起きたら抑える】というものでした。

私が常に持ち歩いていたのはサルタノールという吸入器です。

速効性のある気管支拡張剤で、発作が起きてから吸入するとキュッと狭くなった気管支を広げてくれます。

 


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どこに行くにも必ずこれだけは持っていきました。

お財布を忘れてもサルタノールは忘れない。

小さいバッグが流行って、お財布と携帯しか入らないのに、バッグの形が変わってもサルタノールを押し込んでいました。

オシャレもサルタノールもどっちも大事!という感じで。

思い出すと懐かしいです。

 

 

 

そんなある日のこと。

学校の友達が私の化粧ポーチから転がり出たサルタノールを見てこう言いました。

 

「なんてこんなもの持ってるの」

 

サルタノールを凝視した友達の顔は、いつもと違いとても強張っていました。

 

(サルタノールのこと?どうしたの?喘息の説明をしたほうがいいかな…でもなんか恐い。)

 私は戸惑いました。

 

そして友達は、その後にこう続けたのです。

「こんなものがあるから、お兄ちゃんは死んだんだ」

 

え…

 

私はとても驚いて、しばらく何も言えませんでした。

その子は進学して新しくできた友達なので、お兄さんがいたこともその時に初めて知りました。

 

「お兄さん喘息だったの?」

「うん」

「薬たくさん使ってた?」

「そうだよ」

「そうなんだ」

 

その時の、その話題は、それっきりでした。

 

 

私は友達のお兄さんがどんな症状でどんな薬でどんな治療をしていのかも全く知りません。

 でも何も聞けなかったし、かける言葉がありませんでした。

 

 

私にとってサルタノールは命を繋ぐ薬でした。

 私だけでなく、喘息を持つほとんどの人がそうだったと思います。

 

もちろん副作用はあるし、一日の使用回数に上限があって、心臓に負担がかかるよと注意もされて…

 

でも、これがないと生きていけないんだよ。

これがあるから生きてこれたんだよ。

 

声には出せなかったけど、心の中でそう呟きました。

 



 サルタノールを憎む人がいて、サルタノールによって生き続けられる人もいる。

 

 

はじめにも書きましたが、一昔前、私がサルタノールをメインで使っていたときはまだ、喘息治療は「対処療法」でした。

発作が出てから吸入して抑えていました。

だからひどくなる人が多かったそうです。

残念ながら…という人も。

 

 

今は吸入ステロイド薬が主力ですね。

以前と違って「発作を起こさないように予防する」できるようになりました。

これにより、喘息を患っていても寛解に近付く人が増えたそうです。

おそらく私もその1人でしょう。

吸入ステロイドを使う前は喘鳴のする苦しい喘息発作が起きていました。

風邪をひいたりすると必ず発作を起こし、良くなるまでサルタノールを使っても発作は治まりませんでした。

ところが吸入ステロイド薬を使うようになり、気付けば風邪を引いてもあまりゼーゼーしなくなっていました。

 

今は胸苦しさや、咳喘息のような症状が強いです。

それはそれで嫌なものですが何となく喘息レベルが下がった気分です。

 

良い状態が続くとうっかり吸入を忘れてしまう時があるのですが、気付いたときにきちんと使うようにしています。

 

 

 

喘息のみなさん、吸入を続けて発作が起きないようにコントロールすることを目指しましょう。

喘息の人たちが、いつも楽に呼吸をしながら過ごせますように。