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アトピー喘息アレルギー、子育て、趣味のブログ。byあんころ

「orange」(著)高野苺*漫画感想

「orange」【1巻~】
高野苺さんの作品です。



あらすじ


高校生仲良し5人組のところに、それぞれ「未来の自分」から手紙が来る。
そしてその手紙の内容に半信半疑な主人公だが、手紙に書かれていた通りのことが起こり、そして転校生がやってくる。



※※※



この漫画は、10年後の未来と高校生時代を交えながら話が進みます。
未来の主人公が抱えている後悔を高校生の主人公に手紙で伝え「その事」が起こらないようにどうにか回避してくれ!と願いを託しています。


悲しい出来事が生んだ後悔。
悲劇が起きない未来を進んで欲しくて、手紙に祈りをこめて…



過去が変わることで10年後に影響がでるのではなく、パラレルワールド的なものです。
手紙のおかげで次々と難所をクリアしていく…とはいかず、ミスをしたり、回避できそうな風になっても、導かれるように悲劇へと続く道に引き戻される。


ある人物から発せられる負の感情が重いです。
こういう人が身近にいる(いた)人は余計にたまらないと思います。
逆に経験のない人はあまりに根深い負の部分について理解に苦しむこともあるでしょう。




「未来からの手紙」という設定にファンタジーを期待してこの漫画を開いてしまうと辛くなるかもしれません。
手紙がどうやって届いたのかとか、ご都合主義?やら何やらその辺が気になる人には向いてないかもしれません。


マルチエンディングのようなものです。
未来の話も、未来から手紙が届く話も。
マルチエンディングの1つである「手紙が届いた話」を作者が取り上げて描いてるだけに過ぎない。
その上で、未来から手紙が届くという奇跡のようなできごとが前提となっていることを読み手は忘れずにいなければいけないなと、6巻を読んで感じました。



…え、6巻て?



そうです。5巻が出て、完結かとおもいきや、なんと6巻が出ました。

主人公が変わり、別の他人の視点で描かれています。
5巻までは読了後はしばらく気分が重かったのですが、6巻を読んで、初めて『全部読んだ』気持ちになりました。



それもそのはず、6巻の1話目が、当初のラストだったそうです。
タイトルはどこからきたのだろう?と気になっていましたが、読んでみてだからオレンジなのねと。
それと、作者が「orange」を通して伝えたかったことがあとがきに書かれていました。


何か感じることがある人や、特に5巻まで読了した人は、是非最後まで読んで欲しいと思います。



orange(6) -未来- (アクションコミックス(月刊アクション))




以下、ネタバレ有り。


恐らく鬱病だった母とともに生活していた翔。
そのことが少しずつ翔の心を蝕んでいたのかと思う。
そして母のこの世の去り方が、翔の心のほとんどを持っていってしまった。
まだ高校生ですよ。
友人5人がかりでもがいて、やっとぎりぎりのところで悲劇を回避できたのです。
それも奇跡的に届いた未来からの手紙を頼りに。
それほどに人の心は容易くない。
そのことがよく表現されていると思います。
6巻で須和が菜穂を救ってくれた。
読んでいた私の心も救われました。
希望まできちんと描いてくれてありがとう、と思います。





※※※



明るいのがお好みでしたら、新装版がでている「夢みる太陽」がおすすめです。
シェアハウスのお話しです。
元気で明るい女子高生の主人公含め、恋に頑張っています。


逆から(夢みる太陽)、似たようなのを期待してorangeを読むとギャップがあるかなと思います。(^^;


夢みる太陽(1) (アクションコミックス)



※※※



私はどちらも読んで良かったと思いました。


それにどうもorangeにはまだ続巻があるようです。





楽しみに待っています。



ではさようさら。





orange 全5巻セット [ 高野苺 ]